レポート1〜3「刻苧漆は汐雲丹?!」
3・4月の2ヵ月間、週1ペースで開講中の三本日和の金継ぎ教室。1クール6レッスンとなっており、時間をかけて少しずつ器を継ぎながら完成を目指していきます。金継ぎに焦りは禁物。漆を塗り、余分な部分を削り、また漆を塗る。少しずつ漆を塗り重ねて、徐々に器を修復します。
気がつけば3レッスンが終わり、折り返しとなりました。前半は形の修復作業が中心です。パックリ割れていた器が元の姿を取り戻し、口縁の欠けがピタリとはまってきました。割れた器が道具として再び蘇ると、気分がスッキリしてストレス解消になります。個人的な感想ですが。
毎回とても和やかで楽しい雰囲気のなかで金継ぎを学んでいます。先生である名雪園代(なゆきそのよ)さんが持つふんわりとしたやわらかな空気感が、そのまま教室のカラーになっています。時おり皆で笑いながら、おしゃべりしながら、真剣に手を動かす皆さん。気がつけば夢中で作業に没頭しています。
そして、参加者も個性派ぞろいの豪華メンバーです。我ながら、よくぞこれだけのメンバーを揃えたなと自画自賛したくなるような素敵な方ばかり。三国在住の方が多いので、会話は園代先生に三国の良さをアピールする、という流れに自然となっていきます(笑)。そのなかで、私自身も知らなかった三国の歴史や文化を教えていただくことも。
器の話が湊町文化につながり、そこからディープな三国の魅力をたっぷり教えてもらえる。毎回、新たな発見があり、本当に楽しいです。金継ぎ文化に惹かれて集まった方々なだけに、文化認識も共通するところが多い。三國の重鎮がこれだけ集まると爽快です。私なんか、まだまだヒヨッコだわ。
例えば、ある日の回。金継ぎの過程で「刻苧」と呼ばれるパテを作って継いでいくのですが、それを見た参加者の方が、
「汐雲丹みたいやな!」と表現。
汐雲丹といえば、日本三代珍味の一つ。三国の特産品です。
それを聞いた園代先生は「え?シオウニって何ですか?刻苧をシオウニと言われたのは初めてです!」と興味津々。広島出身の先生には、シオウニでは伝わりません。そこから、汐雲丹とは何ぞやの話が始まり、粉わかめや岩のり(すがも)などの三国の特産品の数々が話題にのぼりました。ああ、面白い。金継ぎで修復した器に汐雲丹を盛って一杯やりたいですねぇ。
ちなみに参加者の半数以上は県外出身者なんですけどね。
第3回目の日、ちょうど園代先生のバースデーでした。桜のロールケーキでプチ御祝い。喜んでいただけたようで良かったです。三本指の意味は内緒です。あ、三本日和の三本ということにしておこう。
そんなこんなで金継ぎ教室の前半クールが終了。来週は4回目。後半は、金粉や漆で化粧に突入していきます。センスが問われる回となりそう。楽しみだな〜。
店主
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